検査者の資格

事業内検査者になるには?研修の内容・修了資格・有効期間

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「事業内検査者」とは?自社の機械を自社で検査できる資格

フォークリフトや高所作業車を使う現場で、「特定自主検査は業者に頼まないといけないのか、それとも社内でできるのか」と迷う総務・安全担当者は少なくありません。結論から言うと、法律が定める要件を満たし、所定の研修を修了すれば、社内の従業員が「事業内検査者」として自社保有の機械を自社で検査できます。本記事では、事業内検査者になるための要件・研修内容・修了後の扱いを、根拠条文とあわせて整理します。

結論:研修修了+一定の資格要件で「自社の機械限定」の検査者になれる

特定自主検査(年に1回、対象機械は事業者自身が有資格者または外部の登録検査業者に実施させる検査)は、労働安全衛生法45条2項および労働安全衛生規則で、実施できる人を限定しています。事業内検査者は、このうち「自社が使用する労働者」側の資格者にあたり、自社が保有する機械のみ検査できます(他社の機械を請け負って検査することはできません。それができるのは登録を受けた検査業者です)。制度全体の枠組みは建設荷役車両安全技術協会(建荷協)の特定自主検査ページでも解説されています。

資格を得る主なルートは次の2つです。

  • 学校教育法上の大学・高等専門学校で工学系の学科を卒業し、点検・整備業務に2年以上、または設計・工作業務に5年以上従事した実務経験があるルート
  • 上記の学歴・実務経験がなくても、対象機械の運転経験がおおむね10年以上あれば、厚生労働大臣が定める研修(事業内検査者研修)を修了することで資格を得られるルート

多くの現場では後者、研修受講によるルートが現実的です。研修は建設荷役車両安全技術協会(建荷協)や中央労働災害防止協会(JISHA)などが機種別に実施しており、フォークリフトの場合は学科・実技あわせて14時間程度の研修と、検査実習記録表の提出が必要とされています。詳しい受講要件・日程・費用は、開催団体(建荷協の各支部等)に直接ご確認ください。

機種別の検査周期と検査者要件

労働安全衛生規則が定める5機種は、いずれも年次の特定自主検査に有資格者(事業内検査者または登録検査業者)を要しますが、周期には違いがあります。

機種年次(特定自主検査)月次(定期自主検査)根拠条文(労働安全衛生規則)
フォークリフト1年以内ごと1か月以内ごと151条の21・22・24
車両系建設機械1年以内ごと1か月以内ごと167条・168条・169条の2
不整地運搬車2年以内ごと1か月以内ごと151条の53・54・56
高所作業車1年以内ごと1か月以内ごと194条の23・24・26
動力プレス1年以内ごと定めなし134条の3・135条の2

(出典:労働安全衛生規則|e-Gov法令検索

不整地運搬車だけ年次周期が2年である点、動力プレスには月次の定期自主検査の規定がない点は見落としやすいので注意してください。月次の定期自主検査は事業内検査者でなくても実施者の資格制限はありません(有資格者が要るのは年次の特定自主検査のみ)。

自社の機械がどの機種に該当し、いつまでに検査が必要かをすぐ確認したい方は、特自検チェッカーで機種を選ぶだけで次回期限の目安を確認できます。

検査記録の保存と標章

特定自主検査を実施したら、検査年月日・検査方法・検査結果・実施者の氏名などを記録し、3年間保存しなければなりません(例:フォークリフトの月次検査は1年で12回、3年分では 12 × 3 = 36回分の記録を保持し続ける計算になります)。あわせて、検査済みの機械には、見やすい箇所(運転席付近など)に検査を実施した年月がわかる標章を貼付する義務があります(例:労働安全衛生規則151条の24第5項)。記録を怠ったり、無資格者に検査させたりした場合は、労働安全衛生法120条により50万円以下の罰金の対象となり得ます。

自社で確認・対応する手順

  1. 保有機械を洗い替え、対象5機種(フォークリフト・車両系建設機械・不整地運搬車・高所作業車・動力プレス)に該当するものを洗い出す
  2. 機種ごとに年次・月次の次回期限を確認する
  3. 社内で事業内検査者を養成するか、登録検査業者に外注するかを決める(社内養成の場合は建荷協等の研修に申し込む)
  4. 検査実施後は記録を作成し、3年間保存できる状態にする
  5. 検査済みの標章を機械に貼付する

注意点・誤解しやすいポイント

  • 「一度研修を受ければ一生ずっと同じ範囲で検査できる」とは限りません。事業内検査者は「自社が使用する労働者」であることが前提のため、転職・転籍した場合の資格の扱いや、資格そのものの有効期間・更新の要否については、規則の条文だけでは断定できない実務的な論点が残ります。この点は必ず、所轄の労働基準監督署や、登録検査業者・建設荷役車両安全技術協会(建荷協)にご確認ください。
  • 月次の定期自主検査は有資格者でなくてもよいため、「検査=すべて事業内検査者がやるもの」と思い込んでいると人員配置を誤ります。
  • 検査記録の3年保存は「検査した」という証跡の保存義務であり、始業前点検(毎作業日に行うもの)には記録の保存義務がありません。両者を混同しないようにしてください。
  • 外注(登録検査業者)に依頼した場合でも、記録・標章の管理責任は事業者側に残ります。「業者がやったから安心」で記録管理を止めてしまうケースが実務でよく見られます。

期限管理や記録の保存を紙やExcelで運用していると、担当者の異動や退職で抜け漏れが起きがちです。特自検チェッカーで自社の該当機種と期限を確認したうえで、機械台帳と検査記録をまとめて管理したい場合は、クレジットカード不要の14日間無料トライアルで実際の画面を試すこともできます。

まとめ

  • 事業内検査者は、要件を満たし研修を修了すれば、自社保有の機械に限り特定自主検査を実施できる社内資格
  • 資格取得ルートは主に「学歴+実務経験」と「運転経験+研修修了」の2通りで、多くの現場は後者を利用する
  • 対象5機種は年次周期が異なり(不整地運搬車のみ2年)、動力プレスには月次検査の定めがない
  • 検査記録は3年保存、検査済み機械には標章の貼付が必要
  • 資格の有効期間や転籍時の扱いなど条文だけで判断できない点は、労働基準監督署・建荷協に確認する

よくある質問

Q. 事業内検査者は他社の機械も検査できますか?

できません。事業内検査者が検査できるのは、自分が雇用されている事業者が使用する機械に限られます。他社から依頼を受けて検査を行うには、登録を受けた検査業者である必要があります。

Q. 事業内検査者の資格に有効期限はありますか?

労働安全衛生規則の条文は、事業内検査者になるための学歴・実務経験・研修修了などの要件を定めていますが、資格そのものの有効期限や更新手続きについては、公開情報だけでは断定できませんでした。転籍・退職時の扱いも含め、所轄の労働基準監督署や建設荷役車両安全技術協会(建荷協)に確認することをおすすめします。

Q. 研修は機種ごとに別々に受ける必要がありますか?

はい。フォークリフト・車両系建設機械・不整地運搬車・高所作業車・動力プレスは、それぞれ根拠となる条文と検査項目が異なるため、事業内検査者研修も機種別に用意されています。複数機種を保有する場合は、必要な機種ごとに研修を受講する必要があります。

Q. 月次の定期自主検査も事業内検査者でないと実施できませんか?

いいえ。月次の定期自主検査(1か月以内ごとの点検)は実施者の資格を制限する規定がなく、事業内検査者でない従業員が行うこともできます。有資格者が必要なのは、年次の特定自主検査です。

Q. 事業内検査者研修はどこで受けられますか?

建設荷役車両安全技術協会(建荷協)や中央労働災害防止協会(JISHA)などが機種別に開催しています。開催時期・会場・費用は団体や支部により異なるため、各団体の公式サイトで最新情報を確認してください。

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