特定自主検査

クレーン・移動式クレーンは特定自主検査の対象?定期自主検査(月次・年次)の記録と保存

運営・編集:特自検台帳編集部

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クレーンの検査、何から手をつければいいか迷っていませんか

「クレーンや移動式クレーンにも自主検査は必要なのか」「フォークリフトのような特定自主検査(有資格者による年次検査)の対象なのか」「検査の記録はいつまで、どんな形で残せばよいのか」。現場でクレーンを使う製造業・建設業・物流業の安全担当者からよく聞く悩みです。この記事では、クレーン等安全規則に基づく検査周期・実施者要件・記録保存のルールを、条文の根拠つきで整理します。

結論:クレーンと移動式クレーンは「特定自主検査」の対象ではない

結論から言うと、クレーンと移動式クレーンは、フォークリフトなど5機種のような「特定自主検査」(有資格者または登録検査業者が行い、標章を貼付する年次検査)の対象ではありません。その代わり、クレーン等安全規則に基づく年次の定期自主検査(荷重試験を含む)月次の定期自主検査の両方が義務づけられており、いずれも実施者に特別な資格は求められません。記録はどちらも3年間保存する必要があります。

根拠は次のとおりです。

  • クレーン:クレーン等安全規則(e-Gov 法令検索・法令ID 347M50002000034)第34条(年次)・第35条(月次)・第38条(記録)
  • 移動式クレーン:同規則第76条(年次)・第77条(月次)・第79条(記録)

「特定自主検査ではないなら簡単な点検でよいのだろう」と誤解されがちですが、年次検査には荷重試験という他の機種にはない重い検査項目が課されている点に注意が必要です。

詳細:検査周期・対象・検査内容を条文で確認する

年次検査(1年以内ごとに1回)と荷重試験

クレーン等安全規則第34条は、クレーンを設置した事業者に対し「一年以内ごとに一回、定期に、当該クレーンについて自主検査を行わなければならない」と定めています。この年次検査では、「定格荷重に相当する荷重の荷をつつて、つり上げ、走行、旋回、トロリの横行等の作動を定格速度により行なう」荷重試験の実施が求められます(同条2項)。移動式クレーンについても第76条に同様の年次自主検査の義務が置かれています。

月次検査(1月以内ごとに1回)

第35条は「一月以内ごとに一回、定期に」、巻過防止装置などの安全装置、ブレーキ、ワイヤロープ、フック等のつり具について異常の有無を点検することを義務づけています。移動式クレーンは第77条が対応します。1年を超えて使用しない期間があるクレーンは、その間の検査は不要です(使用を再開する際に改めて検査を行います)。

記録の保存期間(3年間)

第38条は「自主検査及び点検(第36条の点検を除く。)の結果を記録し、これを三年間保存しなければならない」と定めています。第36条の点検とは作業開始前点検(毎日の作業前に行うもの)を指し、これは記録の保存義務がありません。移動式クレーンの記録義務は第79条です。

対象となるクレーンの範囲

クレーン等安全規則第2条第1項第1号により、つり上げ荷重が0.5トン未満のクレーン・移動式クレーン・デリックは、この規則自体の適用対象外です。逆に言えば、0.5トン以上のクレーン・移動式クレーンであれば、規模の大小にかかわらず年次・月次の自主検査義務が生じます。

機種別の比較表

機種・検査種別周期実施者の資格標章記録保存根拠条文
クレーン(年次・荷重試験含む)1年以内ごとに1回資格制限なし不要3年間クレーン等安全規則34条・38条
クレーン(月次)1月以内ごとに1回資格制限なし不要3年間同規則35条・38条
移動式クレーン(年次・荷重試験含む)1年以内ごとに1回資格制限なし不要3年間同規則76条・79条
移動式クレーン(月次)1月以内ごとに1回資格制限なし不要3年間同規則77条・79条
(参考)フォークリフト等5機種の年次1年以内ごとに1回有資格者・登録検査業者必要3年間労働安全衛生規則151条の21等

フォークリフトや車両系建設機械などの5機種は、労働安全衛生法45条2項に基づく「特定自主検査」として有資格者・登録検査業者による実施と標章の貼付が義務づけられていますが、クレーン・移動式クレーンにはこの資格要件・標章の規定がありません。移動式クレーンの検査項目の詳細は、安全衛生情報センターの「移動式クレーンの自主検査に関する指針について」でも確認できます。この違いを取り違えると、「検査者の資格を確認し忘れる」逆のミス(不要な外注コストをかけてしまう)にもつながるため、自社の設備が属する機種の分類を正確に把握しておくことが重要です。検査の要否・周期をまとめて確認したい方はこちらのツールをご利用ください

なお、クレーン・移動式クレーンには自主検査とは別に、2年ごとに登録性能検査機関が行う「性能検査」の制度もありますが、これは事業者自身が行う自主検査ではないため、本記事で扱う自主検査の管理対象には含みません。

自社で確認・対応する手順

  1. 保有するクレーン・移動式クレーンの一覧化:つり上げ荷重が0.5トン以上かどうかを台帳に落とし込みます。0.5トン未満は規則の適用対象外です。
  2. 前回の年次検査日・月次検査日を確認:年次は1年以内ごと、月次は1月以内ごとに実施日が来ているかをチェックします。
  3. 年次検査に荷重試験が含まれているか確認:外部業者に依頼している場合、荷重試験まで実施されているか検査報告書で確認します。
  4. 検査記録を3年分保管:月次は1年で12回、3年分なら12×3=36回分の月次記録に加え、年次3回分(1年に1回×3年)を合わせて保管する必要があります。
  5. 長期未使用のクレーンの扱いを整理:1年を超えて使用を停止する予定がある場合は、使用再開時に自主検査を行う運用ルールを社内で明確にしておきます。

期限管理をExcelや紙の台帳で行っていると、機種ごとに異なる周期の管理漏れが起きやすくなります。こちらの無料ツールで自社の検査要否・次回期限を確認したうえで、複数機種・複数拠点の期限をまとめて管理したい場合は、14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)で本製品を試すことも検討してみてください。

注意点・誤解しやすいポイント

  • 「クレーンは特定自主検査の対象」という誤解:クレーンはフォークリフト等5機種とは異なる省令(クレーン等安全規則)の適用対象であり、特定自主検査の資格要件・標章制度は適用されません。ただし年次検査に荷重試験が含まれる分、点検の負荷が軽いわけではない点に注意してください。
  • 性能検査と自主検査の混同:2年ごとの性能検査(登録性能検査機関が実施)は自主検査の代わりにはなりません。性能検査を受けていても、年次・月次の自主検査は別途必要です。
  • 作業開始前点検の記録義務:第36条の作業開始前点検には記録の保存義務がありません。年次・月次の自主検査記録と混同して「毎日点検した記録も3年保存しなければ」と誤解しないよう注意しましょう。
  • 外注時の記録責任の所在:検査を外部の登録性能検査機関や保守業者に委託している場合でも、記録を3年間保存する義務は設置事業者側にあります。検査報告書を受け取って終わりにせず、自社の台帳に反映する運用が必要です。

判断に迷うケースや、自社の設備が規則の適用対象に当たるかどうかの最終確認については、詳しくは所轄の労働基準監督署や、登録性能検査機関・建設荷役車両安全技術協会(建荷協)等の専門機関にご確認ください。

まとめ

  • クレーン・移動式クレーンは、フォークリフト等5機種のような特定自主検査の対象ではなく、有資格者や標章は不要
  • 年次検査は1年以内ごとに1回で荷重試験を含む、月次検査は1月以内ごとに1回(クレーン等安全規則34・35・76・77条)
  • 記録はどちらも3年間保存が必要(同規則38条・79条)。作業開始前点検には記録義務がない
  • つり上げ荷重0.5トン未満は規則の適用対象外
  • 2年ごとの性能検査は自主検査の代替にはならない

まずは自社のクレーン・移動式クレーンがいつ次回検査を迎えるか、無料ツールで確認することから始めてみてください。

よくある質問

Q. クレーンの年次自主検査は誰が行ってもよいのですか?

2026年時点の規定では、クレーン等安全規則34条・76条の年次自主検査に実施者の資格要件は定められておらず、フォークリフト等の特定自主検査のような有資格者・登録検査業者による実施義務はありません。ただし荷重試験を伴う専門的な検査であるため、自社で対応が難しい場合は登録性能検査機関や保守業者への委託が現実的です。

Q. つり上げ荷重0.5トン未満のクレーンにも自主検査は必要ですか?

クレーン等安全規則第2条第1項第1号により、つり上げ荷重0.5トン未満のクレーン・移動式クレーン・デリックはこの規則の適用対象外です。そのため同規則に基づく年次・月次の自主検査義務も生じません。ただし労働安全衛生法上の一般的な安全配慮義務は別途存在するため、詳細は所轄の労働基準監督署にご確認ください。

Q. 検査記録はどのような形式で残す必要がありますか?

クレーン等安全規則38条・79条は「記録し、これを三年間保存」することを求めていますが、様式そのものは指定されていません。検査年月日・検査方法・検査箇所・結果・実施者を記載した記録を作成し、3年間参照できる状態で保管すれば要件を満たします。紙・Excel・クラウド台帳のいずれでも構いませんが、機種ごとに周期が異なるため期限管理システムを使うと抜け漏れを防ぎやすくなります。

Q. 性能検査を受けていれば自主検査は不要になりますか?

いいえ。2年ごとの性能検査(登録性能検査機関が実施)と、年次・月次の自主検査は別の制度です。性能検査を受けていても、クレーン等安全規則34条・35条(移動式クレーンは76条・77条)に基づく自主検査は別途実施し、記録を残す必要があります。

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